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ブシャール教授の講演会@京都大学(12月12日) [お知らせ]

ブシャール教授(ケベック大学シクチミ校・歴史学)講演会@京都大学
(西山教行京都大学教授よりの情報を転載)

2012年12月12日(水)14:45-16:15,
吉田南総合館216演習室
フランス語による,逐次通訳あり(無料)
(ご来場の際はご連絡いただければ幸いです)

ケベックにおけるナショナル・アイデンティティの再定義について
ジェラール・ブシャール(ケベック大学シクチミ校・歴史学)

 この講演では,まずアイデンティティの概念について簡潔に考察の上,その定義を行う。これを踏まえて,この50年の間にケベックで行われたナショナル・アイデンティティの大きな変容を振り返る。主としてこの変容は,移民の流入をうけた,ケベックのエスニックな文化の多様化により行われたものである。1960年代ならびに1970年代より,ケベックのフランス語話者はもはや一つの均質なネイションとして自己規定ができなくなったため,アイデンティティの見直しが必要になったのである。
 これにより,ケベックはさまざまな課題に直面したが,それらは当時,西洋の他の多くのネイションにも認められるものであった。それは,集団的記憶について,基本的価値観について,将来への展望や市民生活の規範について,これ以降,どのようにして合意を形成できるのかという課題である。また脱宗教的な社会の理念と,移民の導入したさまざまな宗教との共存をどのように両立するのかとの課題でもある。言い換えるならば,どのようにして歴史的継続性や,ネイションの創成神話を保持させるため,またさまざまな価値観と伝統,アイデンティティ,世界観を調和させるため,どのようにネイションを再定義できるのかという課題なのである。
 ケベックは,現在このように困難な営みに関与している。そのためにケベックが参考とするモデルは「間文化主義」であり,それはこの数十年の間に作りあげられたものである。講演の最後では,このモデルの重要な特徴について言及する。

参考文献
ジェラール・ブシャール著 立花英裕 [ほか] 訳(2007)『ケベックの生成と「新世界」:「ネイション」と「アイデンティティ」をめぐる比較史』彩流社
ジェラール・ブシャール, チャールズ・テイラー編 竹中豊, 飯笹佐代子, 矢頭典枝訳(2011)『多文化社会ケベックの挑戦:文化的差異に関する調和の実践ブシャール=テイラー報告』明石書店
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ロベール・ルパージュ演出「エオンナガタ」について(紹介:安田敬) [お知らせ]

ロベール・ルパージュ演出「エオンナガタ」について(09/06)

安田敬(AJEQ理事、Dance Cafe)による紹介

公演名「エオンナガタ」(EONNAGATA)
★すでにパリ、ロンドン上演、ダンス・演劇・アート話題のコラボレーション、ついに東京で実現!
演出はケベック出身、著名な演出家のロベール・ルパージュ。
そして出演は舞踊界から世界に誇るシルヴィ・ギエム、イギリスを代表する振付家ラッセル・マリファント、そしてロベール・ルパージュも舞台に上がる。

Sylvie Guillem ・Robert Lepage ・Russell Maliphant
「エオンナガタ-EONNAGATA」
日時:2011年11月17日~20日 料金:S15.000円~D5.000円
会場:ゆうぽうとホール(五反田)
協力:カナダアーツカウンシル ケベック州政府
主催:NBS (http://www.nbs.or.jp)
http://www.nbs.or.jp/stages/1111_eonnagata/index.html

概要:
 職業外交官、時に軍人、アマチュアのスパイでもあったシャルル・ド・ボーモン、別名シュヴァリエ・デオンは、名誉と敗北、栄光と追放のどちらをも良く知っていた。その数奇な人生以上に目を引くのが、彼の並々ならぬ大胆さである。エオンはおそらく、任務遂行のために女装した最初のスパイであろう。そのせいで様々な敵を作り、エオンに常にドレスを着用するよう強要したルイ16世もその一人だった。人々は次第に、彼が男なのか女なのか分からなくなっていった。
 もしもシャルル・ド・ボーモンが男であり、そして女でもあったら? 演劇とダンスのはざまで、「エオンナガタ」は剣に対して扇を突きつけ、剣士と遊女がせめぎあう。同時に本作は、セクシュアリティーというよりもジェンダーの探求をする中で、ある性が、もう一方の性によって表現される可能性を模索している。この作品は、歌舞伎の技法である女形(オンナガタ)を参考にしており、出演者が高度に様式化された表現で女性を演じる。これによってシュヴァリエ・デオンに新たな光を当て、彼の謎は、人間のアイデンティティーそのものの神秘なのではないか、という点を明らかにしている。
 シャルル・ド・ボーモンの毅然とした態度は、ただちに「エオンナガタ」の制作者たちの共感を呼んだ。シルヴィ・ギエムは古典バレエ界の名高い反逆者で、コンテンポラリー・ダンスに転向したダンサーだ。近年、彼女はロンドン、東京、シドニーやパリで「Push」や「聖なる怪物たち」といった公演を行い、その気品、エネルギー、精緻さ、ユーモアで観客を魅了してきた。ロベール・ルパージュは過去20年間にわたり演劇表現の枠を広げ、ジャンルを横断し、未知の領域に分け入り、大勢の多様で熱狂的なファンを集めてきた。ラッセル・マリファントはしばしば、彼の世代の最も重要なイギリスの振付家と評される。彼は武道、古典ダンス、そして最新の照明技術を作品に織り込み、その作品には流動性とパワーが息づいている。
 照明デザイナーのマイケル・ハル、衣装デザイナーのアレキサンダー・マックイーン、そしてサウンドデザイナーのャン=セバスティアン・コテらの協力を得て、ギエム、ルパージュ、マリファントは、夢から晩年へ、そしてその逆へと交差する、奇妙で独創的なクロスオーバーを創り上げた。(公演資料抜粋より)
以前からこの人物に興味を持っていたカナダ出世の演出家ロベール・ルパージュが、ルパージュにとって唯一の誤算は「僕自身もシルヴィやラッセル(マリファント)と共に踊らなければならなかったこと(笑)。まさか50歳にもなって自分が踊る破目になるなんて想像もしていなかったが、今ではより表現の幅が広がったとシルヴィには感謝してるよ」。

●ロベール・ルパージュ略歴(演出家・舞台美術家・劇作家・俳優・映画監督)
1957年、ケベック生まれ。1984年、戯曲『循環(Circulation)』でケベック国際演劇週間・最優秀賞を受賞。翌年『ドラゴン三部作』。以後、精力的に作品を発表。1989~93年、オタワ国立芸術センター・フランス演劇芸術監督。1994年、多分野制作集団エクス・マキナ・プロジェクトを設立。また94年、映画『告解』の脚本・製作、翌年のカンヌ映画祭監督週間で発表。2003年には『月の向こう側』を映画化。1997年、彼の推進力によって、ケベックに多領域研究制作センターの「カゼルヌ(兵営)」が誕生。『奇蹟の幾何学』(1998)、『月の向こう側』(2000)、『1984年』(2005)、『アンデルセン・プロジェクト』(2005)、『リプシンチ(Lipsynch)』(2007)、など、数々の作品を発表。オペラ演出も多数。またシルク・デュ・ソレイユの構想と演出を担当し、ラスベガスで『カー』を上演。コレまでの来日では、『ヒロシマ~太田川七つの流れ』をはじめ『ポリグラフ』『テンペスト』『針とオピウム』『月の向こう側』『アンデルセン・プロジェクト』などを上演している。
●お問い合わせ :公益財団法人日本舞台芸術振興会

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